災害用段ボールベッドの誕生と進化 〜避難所の「当たり前」になるまで〜
皆さんこんにちは!包装資材事業部です!
今回は、災害用段ボールベッドについてご紹介します。
近年、地震や豪雨といった大規模災害が発生すると、避難所で目にする機会が増えた「段ボールベッド」。
今でこそ多くの自治体が備蓄し、避難生活の必需品として定着していますが、実はその普及までには長い道のりと多くの工夫がありました。
■ 開発のきっかけは2007年の地震
段ボールベッドの開発が本格的に始まったのは、2007年に発生した中越地震や能登地震がきっかけでした。当時、避難所では多くの人が体育館の床に直接布団を敷いて寝る状況で、冷たい床やホコリ、プライバシーの問題が深刻化していました。
「紙を扱う私たちに何かできないか」──そう考えた弊社が、強度と軽さを両立したベッドの試作に着手。井桁状の補強構造を採用し、大人が乗っても十分耐えられる強度を実現しました。
■展示会で得た“現場の声”
完成した試作品は、各地の「防災展」や「震災技術展示会」などに出展され、一般の意見や自治体担当者の声を直接聞く機会が設けられました。
しかし、当初の反応は決して好意的ではありませんでした。
「折り畳みができず、保管に場所を取る」
「紙製なので耐久性に不安がある」
「何年も保管して劣化しない保証がない」
「プライバシーが守られない」
こうした懸念から、多くの自治体では採用が見送られ、委員会でも再検討が求められました。良いアイデアではあるが、実用性に課題が多い――そんな評価だったのです。
■新商品の開発“段ボール以外の素材”
私たちの会社は輸出用の包装材料も手掛けていて、輸出コンテナーの中で荷物を固定するエアー緩衝材に目をつけ上記の問題を解決する事によりかなり注目していただき購入をしていただきました。
■ 改良を重ねてたどり着いた“今の形”
エアーマットは普及しましたが、高齢者が床にかがむのが大変という問題があり床面からの高さを確保する課題が出てきました。
その結果、現在主流となっている「ミカン箱タイプ」をいくつか並べる構造が生まれました。
この形なら、平時は箱として保管でき、災害時にはすぐにベッドへと組み立てられます。軽量で工具も不要、組み立て時間はわずか数分。さらに、使用後はリサイクル可能で環境にも優しい設計です。
■ 段ボールベッドがもたらす安心
段ボールベッドの普及により、避難所での衛生面や睡眠環境が大きく改善しました。床からの冷気を遮断できるため体調を崩しにくく、高齢者の立ち上がり動作も楽になります。また、仕切りパネルと組み合わせることで、プライバシーを確保することも可能です。
今では、災害時だけでなくワクチン接種会場や一時避難施設など、さまざまな場面で活用されています。段ボールベッドは、単なる「紙のベッド」ではなく、人の想いと工夫の結晶として、安心と快適さを支える存在になりました。
段ボールベッドや段ボールのことなら是非富士木材までお問い合わせください。













